当院は、埼玉県において 1 類感染症および2類感染症の診療を行うことのできる医療機関(第一種・第二種指定医療機関)です。また、結核モデル病床も指定されており、合併症を持つ結核患者を受け入れることも行っております。さらに、エイズ診療拠点病院として1990年代よりHIV/エイズ診療を担っており、HIVサポートチーム(HST)を結成し、埼玉県の中央から西部を中心とした医療圏において数多くの感染症を診療してきた実績があります。感染症科外来では、主に、近隣の医療機関や院内から紹介された以下の疾患に対して診療、支援を行っています。渡航前のワクチン接種等も可能です。
また、2020年初頭より国内外で大きな問題となっております新型コロナウイルス感染症におきましては、小児・精神・産婦人科を有する総合病院としての特色を生かし、多くの診療科と共に診療にあたっており、近隣はもとより、県内から多くの患者さんの入院相談に応じてきました(これまでのコロナ対応の軌跡(写真)はこちら)。2,000 名以上の患者を受け入れており、地域の医療機関の中心的な役割を担うべく、日々診療を行っております。 また、COVID-19罹患後症状の方の外来診療も行っております。
また、中央検査部や微生物学教室とも共同で研究を多数行っており、高度な医療を行う大学病院の講座として医学に貢献しています。
当教室は「感染症科」だけでなく、病院感染に対するインフェクションコントロールを担当する「感染制御科」もあわせて標榜している、国内で数少ない大学の講座です。感染対策室とともに感染制御を行っており、次の2つのチームをつくり対応しています。
耐性菌を拡げない対策を実践するチーム(感染制御チーム:Infection Control Team:ICT)
感染症を発症した患者が適切な抗菌薬治療を受けられるよう、他の診療科を支援するチーム (抗菌薬適正使用推進チーム:Antimicrobial Stewardship Team:AST)
この2つのチームは、感染対策室および感染制御科医師をコアメンバーとして、感染症診療における「耐性菌の抑制」と「予後向上」のために活動しています。
週5回多職種でdiscussionしています。
週1回ラウンドを行っています。個人防護具の着脱順序を確認しているところです。
埼玉医科大学 臨床感染症センターは、埼玉医科大学の3病院(大学病院、総合医療センター、国際医療センター)の感染症科・感染制御科、中央検査部、医学部微生物学にて構成されます。 臨床と基礎研究におけるトランスレーショナルリサーチを積極的に推進し、感染症に関するエビデンスを集積、発信することを目的とします。また基礎研究も積極的に行っており、感染症の病態メカニズム解明と、より良い微生物検査法・病原体診断法の開発を行っています。
埼玉医科大学では2002年に埼玉医科大学病院(本院)に「感染症科・感染制御科」が設置され、本邦でもいち早く感染症診療と、病院における感染制御の診療・教育・研究を実践してまいりました。その後、2つの分院ー2007年には国際医療センター、2014年には川越の総合医療センターに「感染症科・感染制御科」が設置され、さらには2017年には総合医療センターに「総合診療科・感染症科」が設置され、感染症専門医および指導医とも充実した体制となっております。
また埼玉医科大学では、この3つの病院のベッド数を合わせると3,000床弱の病床数を有し、わが国でも最大規模の医療機関となります。そこは感染症専門医を志す医師にとって症例の宝庫であり、また様々な臨床検体を用いて行う基礎研究の資源の宝庫でもあります。
このような診療・教育・研究体制をより有機的に活用し、今後の感染症専門医の卒前・卒後教育ならびに診療・研究をより効果的に実践できる組織として2015年に「埼玉医科大学臨床感染症センター」が設置されました。今後は学内外から人材を募り、育成し、埼玉医科大学のみならずわが国の感染症診療に大きく寄与することを目指しております。
【最近の研究内容】
●アスペルギルスの感受性、株の特徴に関する研究
●カンジダの免疫応答に関する研究
●耐性菌の疫学解析と病態解明に関する研究
●効果的な医療関連感染管理に関する実践的研究
●梅毒などの性感染症に関する研究(中央検査部と共同研究)
●シャーガス病の病態解明と我が国における疫学調査に関する研究(中央検査部と共同研究)
医学部の講義・実習等を担当するとともに、初期研修医、内科専攻医の教育を行っています。また、感染対策室として、院内の職員教育にも取り組んでいます。
初期研修の先生には、細菌検査室でグラム染色のトレーニングも行っていただいています。